訪問診療(往診とは違い、定期的に通院困難な患者の所を訪問し定期内服薬などを処方する診療形態)や認知症外来を行なっていると、“長生きのつらさ”を耳にします。老化に伴い、身体機能が低下し、関節などの痛みに耐えながら生活している方も多いと思います。平均寿命が延びて長生きする人が増え続ける中で、健康寿命を延ばす役目が今後の医療の役目だと考えています。2025年には高齢者の5人に1人は認知症という時代がやってくるため、高齢者が住み慣れた場所で最後を迎えれる事と、病床・医療のひっ迫を緩和する事を目的とし、国の政策として地域包括ケアシステムという構想があります。
少し話がずれましたが、LIFE SPANという本の中で、健康寿命を延ばすためには老化を治療する必要があり、そのためには老化を病気であると認識する必要があると筆者は言っています。以前は心不全や呼吸不全と診断されていた死因の中には老衰が原因だった患者も含まれていたと思われ、心不全や呼吸不全の使用を控えるようになってから、老衰による死亡が急に増え、現在では死因の第3位になっています。ちなみに第1位は癌で第2位は心疾患となっています。LIFE SPANでは、癌も細胞レベルの老化が原因であると言われており、心筋梗塞などの心疾患も血管の老化が原因であると考えれば、老化を治療することができれば、人のもっと健康に長生きできると思われます。著者は世界的に有名な科学者で老化について研究しているデビッド・A・シンクレア氏。ハーバード大学の教授で、「世界で最も影響力のある100人」や「医療におけるトップ50人」に選ばれたことのある人物です。
詳細な内容は省くとしまして、老化の原因は細胞の情報の損傷で、特にエピゲノム(細胞の個性を生む仕組み)の情報が失われると、細胞は個性を出せず、身体機能が低下していくと述べられています。この情報を修復する機能が身体には備わっており、サーチェイン遺伝子などの長寿遺伝子が重要な役割を担っています。適度なストレス下にさらされると長寿遺伝子が働き始めると示すデータがあり、また、一部の薬やサプリメントでも老化を予防する科学的根拠も記載されています。
では具体的にはどうすればよいかといいますと、食事の量と回数を減らす、動物性タンパク質は摂らずに植物性タンパク質で必須アミノ酸を摂取する、適度な運動をする、寒さに身をさらす などがあり、できる範囲で生活に取り入れていくのが良いかと思います。
かくゆう私も、健康診断で尿糖陽性だった事をきっかけに、自分の生活を見直す事にしました。2週間持続的に血糖値を測定しスマホでみれる装置(フリースタイルリブレ:Amazonで購入可能)を購入し、測定したところ食後高血糖が明らかになりました。食後高血糖は血糖スパイクともいわれ、糖尿病と同程度の疾患リスクがあると言われています。最近、テレビでコロナ感染の重症化リスクとしていわれている隠れ糖尿病、糖尿病予備軍などに血糖スパイクもあたると思います。
血糖スパイクが判明した後は、生活習慣を改め、節酒と1日数分の筋トレ、糖や炭水化物の減量、オートファジーダイエットなどを行っています。半年くらいで体重も減り、血圧や血液検査値の正常化を達成しました。老化の予防の為に今後も継続する予定です。
生活習慣病は自覚症状がなく、気づいた時には手遅れだったり、毎月の治療費が必要になる場合もあります。
健康でいるために、一緒に頑張りましょう。
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